「以前は楽しめていたことが、今は手につかない」「朝、体が鉛のように重くて起き上がれない」……。 それはご本人の気合や性格の問題ではなく、脳のエネルギーが不足している「うつ病」という状態かもしれません。世界保健機関の調査では、日本人の約5人に1人が生涯で1度以上うつを経験すると報告されています。当院では、あなたが再び前を向けるよう一歩ずつ歩みを共にします。一人で抱え込まず、ぜひご相談ください。
うつ病とはどのような状態か
うつ病は、脳内の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリンなど)のバランスが崩れることで起こると考えられています。精神的なストレスや身体の疲労、ステロイド等の薬剤の使用など、原因はさまざまですが、一時的な気分の落ち込みとは異なり、数週間にわたって心身の不調が続き、ご自身の力だけで解決することが難しくなるのが特徴です。
こんなサインに心当たりはありませんか?
うつ病は「心の症状」だけでなく、多くの「身体の症状」を伴います。以下のような状態が2週間以上続いている場合は、早めの相談をご検討ください。
心のサイン
- 何に対しても興味がわかず、楽しいと感じられない
- 理由もなく不安や焦り、申し訳ない気持ち(自責感)に駆られる
- 集中力が続かず、仕事での判断ミスが増えた
- 「消えてしまいたい」と考えてしまう
身体のサイン
- 夜中に何度も目が覚める、あるいは寝付けない
- 食欲がわかない、または過剰に食べてしまう
- 疲れが取れず、常に体がだるい
- 検査で異常がないのに、頭痛や肩こりが続く
診断に向けたステップ
上述のようなうつ症状の強い時期とは別に、眠らなくても活動できる、怒りっぽくなった、浪費が止まらない、など活動性が高まる時期を合併する方もおられます。この場合、躁うつ病である可能性が考えられます。うつ病と躁うつ病は、治療に用いるお薬も異なるため、専門家による慎重な判断が必要になります。当院では、まず医師による丁寧な対話(問診)を通じて、現在のお困りごとやこれまでの経緯を詳しく伺います。ぜひご相談いただければと考えています。
回復に向けた治療の柱
治療において最も大切なのは、まずは「心と体を十分に休ませること」です。
- 環境の調整と休息 お仕事や家事の手を休め、治療に専念できる環境を整えます。必要に応じて休職のための診断書発行や、ご家族・職場との連携についてもサポートいたします。
- お薬による治療(薬物療法) 脳内の神経バランスを整えるため、SSRIやSNRIといった抗うつ薬を使用します。お薬は「心のガソリン」のような役割を果たしますが、効果が出るまでには数週間ほど時間がかかります。副作用にも配慮しながら、最適な処方を検討します。
- 心のケア(精神療法・カウンセリング) お薬で状態が安定してきたら、認知行動療法などを取り入れることがあります。ご自身の「ものの捉え方」の癖を振り返り、ストレスとの上手な付き合い方を一緒に見つけていくことで、再発を防ぎます。
- 生活リズムの改善 規則正しい食事や、無理のない範囲でのウォーキングなどの軽い運動は、心の回復を早めることがわかっています。できることから、少しずつ日常のペースを取り戻していきましょう。